カテゴライズから自由になって人が繋がれる場所
誰もが入りやすい「足湯カフェ」を新宿二丁目に

全21回トークイベントの御礼&太田尚樹さんから応援メッセージをいただきました!

9月17日、全21回のトークイベントが無事に終了いたしました。
ご協力くださったゲストの皆様、そしてお越しくださった参加者の皆様、おかげさまで和やかで楽しく、たくさんの「知らなかった!」を発見できるイベントとなりました。
本当にありがとうございます。

さて、どん浴はこれからいよいよ工事に入ります。
今後もお店ができるまでのプロセスや、トークイベントのレポをご報告してまいります!

今回は9月9日のトークイベント「近くて遠いゲイとビアン」のレポと、ゲストの太田尚樹さんからのメッセージをご紹介いたします。
この日はどん浴のイメージイラストを描いてくださっているイラストレーターのスズキハルカさんに、トークを聞きながら絵を描くライブドローイングも同時進行でやっていただきました!
そのイラストもご紹介させていただきますね。

 


太田尚樹さん

1988年、大阪出身のゲイ。神戸大学卒業後リクルートに入社。その後退社し「世の中とLGBTのぐっとくる接点をもっと」をコンセプトに活動する『やる気ある美』を発足。同名WEBメディア編集長に。また現在はフリーランスとして、スタートアップのブランディングや雑誌連載など、幅広く活躍中。

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近くて遠いゲイとビアン レポ


あまり接点を持つことのないゲイとビアン。
今回はゲイの太田尚樹さんをゲストに招き、Lである司会のさとこと大路と、ざっくばらんにトークを繰り広げた。この回はテンポ良く次から次へと話題が移っていくのが特徴だった。
  
―ゲイなりに気を使ってるんです。

さとこがゲストや参加者に振る舞うたこ焼きを作り始めたと同時にトークはスタートした。 さとこ「トーク慣れしているよね?」
と司会がゲストに少し甘えそうになる。
 
太田「ねぎ偏りあるように見えるけど大丈夫?大阪出身だから焼くのめちゃうまいよ?」
 
ついにはゲストにたこ焼き作りを任せ始めた。
 

太田さん、たこ焼きがとても上手!
 
「OTって呼んでね!」と太田さんは早くもフレンドリーな様子。
しかし会場内は多くのL達、その他多様なセクシャリティの人に囲まれ、やや緊張気味の太田さん。 
 
大路「アウェイ感あります?」 
 
太田「アウェイ感はあまりないけど、ビアン相手が一番緊張する。理由は色々あるけれど、男性が怖い人も中にはいるじゃないですか。
以前経験したことで、ビアンカップルの1人が『やる気あり美観てます!』と握手をしてくれた。でももう一人の方は彼女に促されて握手したんだけど『手汗が気持ち悪い』と(笑)それはちょっと露骨だったけど、結構ビビられているなっていうのはある。
嫌だなって顔されたことがちょくちょくあって、嫌な気持ちにさせていたらどうしようかなって。」 
 
「これでも今日は僕なりに一番丈の長い短パンを履いてきたの!」と膝上20センチほどの短パンを少し得意げに見せたが、会場内からは笑いが起きた。
 
不快な思いをさせないように、ビアンと接する時は立ち振る舞いや服装にとても気を使われているようだ。

 

―OTの好きなタイプとゲイ特有の言葉「上澄み専」


太田「誰か『OTじゃん!』って紹介してくれて繋いでくれるビアンがいると喋れるけど、初対面同士だと結構嫌がられてるのかなって感じることがよくある」
 
 
さとこ「扉があるよね。男性っていう扉の次にゲイだったらまぁ少し扉を開けてみて、また閉じて、そこからなかなか仲良くなれないよね。」
 
 
太田「ノンケの男性よりは警戒されないかなぁ。でも入りは緊張する。」
 
 
さとこ 「私もOTと初めて会った時は緊張した。何考えてるんだろうって」
 
太田「それは今でも周りの人によく言われる。」
 
さとこ「今何考えてるの?」
 
太田「最近は、彼氏欲しい」
 
大路「どんな人が好み?」
 
太田「大谷翔平もいければケンコバもいけるし松田龍平も好き。割とルックス散ってるの。」
 
大路「ゲイのモテすじがわからない。もみあげから髭と繋がってて割りとガチムチ系がモテるとよく聞くけど本当にそうなの?」
 
太田「本当にそう。佐々木希みたいな量産型の(笑)」 
 
大路「この間、とあるゲイパーティに行ってきた。300人くらいゲイの方がいて、みんなとりあえず大胸筋が鍛えられている感じで」
 
さとこ「みんな何かオイルみたいなの塗ってるよね」
 
太田「そこまではわからないけど(笑) 男性性をより多く揃えている人がモテやすいかも。タチとかモテやすい。ビアンはフェムのほうがモテるの?」
 
さとこ「お店をやっていて、よく好みの話を聞くのだけど、みんなフェムが好きとか言いながらなんだかんだ一番中性がモテるかもしれない。綺麗な人が好きなのよ。」
 
太田「あー!なるほど!それはあるね!ゲイの世界でも、女の子みたいな男の子が好きっていう人もいるから。女ではダメだったんだね!って。僕の中ではわからない感覚なんだけど。」
  
さとこ「ビアンはフェムとかボイとか色々あって、なんだかんだ言って均等にモテるけれどゲイはそういうのはある?」   
 
太田「どうだろうなぁ…ゲイの中では『うわずみ専』という言葉がある。ジャニーズとかガチムチ系とか、色んなジャンルがあってその中の特に上位の上澄みの部分あるでしょ。そこを総して言ってる」

 

会場一同が目からうろこでざわついた。

 

大路「ただ単に面食いなだけじゃないですか!(笑)」
 
太田「いやでも上澄み専ってよくいうのよ。ビアンの間でも流行らせていって。」
 

―ゲイの出会いには筋肉の量も重要

 
さとこ「昔ビアン界で、昭和の人しか知らないと思うけれど、ズボンを履いているネコを『ズボネコ』、スカートを履いているタチを『スカタチ』と言っていたけど、そんな風に今は死語になってしまった言葉ってゲイ界である?」
 
太田「あるかなぁ?」
 
 
さとこ「昔ネットの出会い系でそういう用語ってなかった?」
 

大路「掲示板のプロフィールに書くような。」
 
 
太田「すぐには思いつかないけど、ツイッターでゲイの人って1768426とかプロフィールに書く。身長体重年齢を表しているんだけど、それが書いてあると大体ゲイの人だね。ツイッターの文化ができてからはみんなやってる」
 
さとこ「体重は売りになるんだね」
 
 
太田「なる。この身長でこの体重でこの見栄えだったら筋肉あるなとか」
 
大路「下世話な質問になるけど、ゲイの人って会ってすぐお手合わせしてしまうイメージなんだけどどうなんですか?」
 
太田「人によるけど多いは多いかも。二丁目文化にいた人はそういう人は多いかもしれないけど、アプリで出会う人で、友達もいません、みたいな人は全然違う。『この人ヤる気はないんだ』っていう人もアプリ上で出会ったりはするから全員がそうとは限らない。」
  
さとこ「OTはどっちなの?」
 
太田「ちょっと待ってよお。ヒミツ?(笑)」

 

― 恋愛経験の少ないOTの後悔

太田「最近いい感じになった人がいたのね。初めて会ったんだけど、2軒目どこ行こうかってなって『ワイン飲みたいね』って僕がいったら、行こうと思ってた店が閉まってた。そしたら『うちに良いワインあるんで来ます?』って言われて、おおおお!!!ってなって。(笑)

 
駆け引きは全くできないから、おう!って家行って。ワイン飲んで結構酔ってきたら、『別に泊まって行ってもいいですよ』って言われたけど、僕は経験浅くて、その少し前に『1回目やった人とは付き合うことは出来ない』って聞いていたから『いえ、帰ります』って言って帰って。
 
後日友達に話したら意見が分かれて、『1回目でヤってようがなかろうが付き合う人とは付き合うし、付き合わない人は付き合わないよ。ヤっておけばよかったのにね。』って言われて。そっちかぁあ!って。」
 
 さとこ「恋愛経験ってどれくらいなの?」

 

太田「全然ないよ。まともに付き合ったの2人しかいない。一人は2年で一人は1年。
タイプの人にモテない。僕基本的に『太田ってよくわからないよね』って言ってくれる人が好き。でも僕を好きになる人って割と『太田さんすごい』みたいな。すごいって言われても、『あ、ありがとうございます』ってなる。」
 
さとこ「距離感じるよね」
 
太田「そうなのよ。」
 
大路「理想を重ねられちゃうのかな。」
 
太田「そう。それだと疲れちゃう。太田うるせーくらいの人がいい。その方が好き。そういう人にモテないんだよね。今は修行中です。」
 
 

下世話な話とは対照的にとっても可愛らしいスズキハルカさんのイラスト
ゲストの太田さん、どん浴のさとこと大路で巨大たこ焼きをしているところ。


― 社会的な存在となったゲイ

ここで太田さんが焼いていたたこ焼きが出来上がった。
大路が熱そうに頬張る。
 
 
大路「ゲイイベントってすごいいっぱいあるなってイメージがある。二丁目で、ノーパンでスウェットのイベントがあったよね」
 
太田「そうそう。クリエイティブだよね~!ビアンではノーブラナイト?あれは流行ってるの?」
 
さとこ「ゲイの人は、昔はノーパンとか性的なものをバンバン出して行こうからスタートしているけど今は真面目な出会いが欲しい子が多いイメージ」
 太田「そうだね」
 
さとこ「で、ビアンは逆に『お付き合いしましょう』っていう真面目な出会いから、今では性の解放が始まって立場が逆になっているなって。てことは女の人が解放したくなってきたってことかな」
 
太田「そうかもしれないよね。ゲイは昔二丁目だったらみんなタメ口だった。今はそれが全然なくて。もともとなんでそうだったかっていうと、『別に偉かろうがフリーターだろうが、うちらってちんぽ好きな変態じゃん、うちらってダメだもんね』みたいなのが、今は社会的な存在になったし変態でもなくなってそういう感じじゃなくなったっていうのがあるっていうのを聞いた。
敬語でのコミュニケーションが普通になったし、ゲイだからみんな一緒っていうのはなくなって面白いなって。社会的な存在になると、性的な存在じゃなくなってね。」 
 
 
大路「ゲイイベントで真面目なお見合いイベントが増えたっていうのはある?」
 
太田「昔よりは増えてるんじゃない?二丁目でもNPOでもないようなイベント。ジュエリアスっていうのはずっとやっているし、増えていると思う。」
 
さとこ「お見合いやろうとは思わないの?」
 
 
太田「彼氏欲しいと言ったけど、仕事の方を頑張りたいかな。今はそこに時間を割けない。だから作りたいって本気で思ったら作るかも。」
 


さとこ「ビアンの友達はいる?」

太田「今は特殊な立場だから多いけれど、昔は全然ビアンの友達はいなかった。」


さとこ「今は多いというのは、会ってみたら意外に良かったってこと?」


太田「そうだね。ビアンのBBQオフ会に僕ゲイ一人で行って楽しかったし。ゲイの仲間って二丁目のカルチャーが強いし、暗黙のルールがある。
例えば下世話な話が評価されるとか、そういうムードがあって、そういうのに疲れていたけど、ビアンの人からしたら僕はルール外の人だから、向こうもルール外の人と接する感じで話してくれて。最初の入りにくさを超えると、単純にお互いのタグがない状態というか、ただオフ会でかき氷を早食いするような感じで終わった。それは楽しかった。」


さとこ「私全然ゲイの友達がいないのだけど、ちょっと勇気を出して飲みに行って話してみたりとかしたんだけど、めちゃくちゃ早口なんだよね。テンション上げて行かなきゃいけないのかなって、武装モードが疲れちゃって。」

太田「二丁目周りは文化が色濃いからね。」

さとこ「二丁目周りとその他ゲイと違う?」

太田「全然違うよ。イベントで出会った人はアプリで会った人で、LGBT系のイベントに行ったことがない37歳で、初めてこういうイベント来ましたとか、全然何も染まってない人が多い。」 


 

―ゲイとビアンの合同オフ会の実現に向けて

 
大路「ビアンとゲイの合同オフ会で人が来るのかな。ビアンと交流したいって思う?」

さとこ「企画したことはあるよ。でも参加者ゼロ(笑)」
 
太田「ん~…クイズ王決めるとかは?(笑)
ゲイとビアンそれぞれクイズ王決めてもらって、最終的に二人が戦う。それをみんなが見に行く。」
 
さとこ「二丁目の謎解きイベントを考えている。ランダムに集まって、集まった人と謎解きをしていく。
一つのことを共有することが大事なんじゃないかなって。
でもビアンがいるなら行かないとかあるかもしれない。
あとはこの欲が満たされるから行くという動機が必要、例えば出会いとか。」
 

太田「色んなイベントもセクシャリティもジェンダーも超えた、クイズや謎解きやスプラトゥーンとか、みんな関係なく好きだよねってものをやると盛り上がりそうだよね。全然喋んないビアンの人がスプラトゥーンめっちゃうまいとかだったら面白いよね」

 
普段から「LGBTに対する偏見が無くなって欲しい」と願っているが、そんな当事者がゲイに対して偏見を持っていたのかもしれないと気付いた。
新しくオープンするどん浴はセクシャリティ、性別年齢国籍関係なく全ての人にとっての憩いの場になる。二丁目にそういった場ができることで、自分とは違う人間や生き方を知り、世界を拡げ、豊かな人生観を築くきっかけとなるだろう。
ゲイとビアン合同のオフ会だが、私(筆者)個人的には全セクシャリティごちゃ混ぜでミスコンとミスターコンを開催して欲しい(笑)。
もちろん、ミスなのかミスターなのか、どちらにエントリーするかは本人次第だ。


written by ウエンツ

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太田尚樹さんからの応援メッセージ


いつだったか忘れましたが、初めてどろぶねのさとちゃんと会った日のこと、「自分は今からレズビアンの人と会う」と思って緊張したのを覚えています。

でも会ってみると、さとちゃんはさとちゃんでしかなくて、「年なのかな…」というボケが上手な、占いができる素敵な女性でした。

僕はゲイとしてラベリングされることに苦しんできながら、人をラベリングしてしまう自分という生き物に失笑。本当未熟者でした。

どん浴は、そんな失笑があったかと思えば、そんなことさえ忘れてみんなでゲラゲラ笑える場所になって欲しいと思います。

素足にラベルはありません。みんなで足湯に浸かって色んな楽しことしましょうね。

 

太田さん、ありがとうございました!
 

2018/09/20 00:28