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【イベントレポート】ヨルダンで開催したお祭り『WORLD ”KIDS LAB” FESTIVAL2016 in Jordan』報告会。~子供たちと世界が繋がる意味と可能性~

2016年8月、WORLD FESTIVAL Inc.とanother life.のプロジェクトチームは、中東にあるヨルダン・ハシミテ王国を訪れた。

渡航の目的は、貧困地域に住むパレスチナ難民・イラク難民・シリア難民の子供たち300人を対象に、お祭りプロジェクト『WORLD ”KIDS LAB” FESTIVAL2016 in Jordan』を開催すること。また、世界最大級のシリア難民キャンプ「ザータリ難民キャンプ」で取材をすること。

今回その報告と写真の展示会として、『WORLD FESTIVAL Inc.』代表の近藤祐希さんと、『another life.』の共同創業者である島田龍男さんによるトークショーが、二子玉川蔦屋家電で開催された。

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WORLD FESTIVAL Inc. 近藤さん(以下、近藤):初めまして。WORLD FESTIVAL Inc.という会社の代表の近藤と申します。

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我々の会社は、”世の中から「関係ない」を無くしたい”というミッションを持っています。遠い国のことや自分がよく知らないことに対して、直接は知らないから自分には関係ないんじゃないかと思うのではなく、同じ地球に住んでいるから人伝いにつながっているかもしれない。何かしら関係があるんじゃないか?という意識を持つことで、戦争や社会問題の根源の解決に結びつくのではないかと考えています。

『社会問題』というと複雑なので、よりPOPに、若い子たちも巻き込むためにエンターテイメントを大切にしてやっています。エンターテイメントでハードルを下げて、いろんな人たちと世界を繋げていきたいという想いを持った会社です。

 

another life. 島田さん(以下、島田): 僕はanother life.というウェブメディアを運営しています。

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”一日だけ、ほかの誰かの人生を。”というコンセプトで、有名人の人じゃなくても何かに情熱を持って取り組んでいる人の、人生ストーリーを紹介するというようなウェブメディアをやっています。ざっくりいうと、インターネット版の情熱大陸みたいなものです。本屋さんで売られるような形で、いろんな方の自伝を書いたりもしています。

 

そもそも、なんでヨルダンに?

近藤:僕のWORLD FESTIVAL Inc.という会社は、発展途上国で子供向けの教育イベントというか、「お祭り」を開催しております。

お祭りでは、子供たちが、世界中の面白いコンテンツと触れたり、自分の発想を形にして世界に発信したりできるようなことを特に意識しています。発展途上国には美術や音楽の教育がない場所も多く、自由に発想する機会が少ないので、自分がやりたいことをする、というのは特に意識していることです。そういった体験によって、子供たちの人生の選択肢や可能性、視野を広げる機会を作りましょう、ということで、現地のNGOや企業とコラボレーションして開催しています。

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今回は『WORLD ”KIDS LAB” FESTIVAL』という名前で開催したんですけども、ご縁があり、JICA(青年海外協力隊ヨルダン)さんとコラボレーションすることができたんですね。

それでぜひanother life.さんに来てもらって現地で取材してもらって、現地の方々の人生を通して背景の文化や現状をいろんな人に知ってもらいたいなぁ、ということで今回一緒にやらせてもらいました。

 

ヨルダンってどんな国?

島田.ちなみに、ヨルダンってどこの国かわからないという方も多いかもしれません。中東なので、危ないイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。最近はイスラム過激派の事件も多いので。

でも実際、皆さんが思っているより全然危なくないというのが、僕が行った感想です。

現地の人たちも、テロ事件をしている人たちと自分たちを一緒にしないでくれとすごく言っていました。それから、日本人に対しては特に優しい国ですよね。

 

近藤:だいぶ親日ですよね。まず税関でジャパニーズだと答えた段階で「おお、日本人か!」みたいな感じで、おすすめのお店を教えてくれたりしました。

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タクシーも凄かったです。日本から来たって言ったら、タクシー運転手が「トヨタ!」って運転しながら叫んだり(笑) 自分のトヨタ愛をスマホの写真見せながら語られたりして。

 

島田:ヨルダンは首都がアンマンというところで、世界遺産も4つある、かなり綺麗な場所でした。一面アラビア世界というか、砂漠の世界が広がってはいるんですが、ミネラル豊富な死海のほとりでは農業も盛んらしくて、砂漠なのに果物や野菜なんかもすごく新鮮で、美味しかったですね。

国としては、人口の半数以上が難民と言われているようなところで、それこそパレスチナ難民の方が50年間くらい難民生活をしていたりするような、そういった土地です。

 

近藤:パレスチナ戦争が原因でおよそ68年前で、1948年に多くのパレスチナ人が難民となりました。アンマンから車で20分くらい行くとすぐ難民キャンプがあって、ほぼパレスチナ人なんです。

それで、僕が想像していた難民キャンプってたくさんのテントがあって、「UN」と書いてあって・・・というイメージでしたが、実際は本当に普通の町。「ここから難民キャンプです」と言われても、全然そうは思えないような感じでした。学校もあるしビルもあるし、子供たちはみんなスマホをもってFaceBookやってて。

あとは、ほとんどがイスラム教徒の方なので、街に出ると女性はヒジャブという布で顔を隠しています。

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島田:女性と子供をめちゃめちゃ大切にする国でしたね。

 

僕のイメージだと真逆に、女性や子供が虐げられているイメージだったんですが、バスで女性が来ると「女性の為にお前は立て!」と言われて。(笑)女性の目を見てもいけないし、もちろん触れてもいけないし、すごく大事にしなければいけないんです。

 

それからストリートチルドレンも一人もいなかったです。そんなに裕福な国ではないけれども、文化として「女性は守る、子供にはご飯を食べさせる。家がなければ泊めてあげる」という。子供は宝物だから、みんなで育てようというのが文化があるようでした。

 

宗教というよりは、「お父さんお母さんからそう言われて育ったから当たり前のことなんだよね」みたいな感じで、素敵な文化だなぁと思いました。そういった部分が、ちょっと意外でしたね。

 

ヨルダンでフェスティバルを開いた理由。

近藤:そもそもこの祭りは、中東のほうで難民キャンプに住んでいる子供たちの教育の面で色んな問題があるということを聞いていて、その中でシリアやパレスチナなど、国が違うことで分けられて生活をしたり、国が違うと「彼らは敵だ」と言う大人も中にはいる。そんな中で育ってしまうと、子供たちはどうなってしまうのだろうか、という危機意識から始まりました。

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事前に今年の3月頃、難民キャンプ内の学校にいくつか、青年海外協力隊の方々に協力いただき、訪問させてもらったのですが、教育カリキュラムの中に美術・音楽・体育というものが基本的にないことを知りました。

それで、想像力を働かせる、自分の考えを持って形にする、協調性を持って何かを行う、などがとても苦手な子供が多いということも知りました。

 

夢を語ってもらうと子供たちは大体「教師」「医者」「弁護士」「エンジニア」などと決まった職業を答えるようで、先生や親など大人の影響もあり、そういった風潮があるように感じました。

 

そもそもWORLD FESTIVAL Inc.という会社は、子供のうちから広い世界を知ってもらって、「自分もこういう価値観を持っていいんだ」「国や文化を超えたこの人たちとなにか創れるかもしれない」と思えるう経験をたくさんしてもらいたい、という基本的な考えを持っています。

 

彼らの状況を見た時に 一番危機感を持ったのは、自分の考えや疑問を持ちにくい環境であること。そうすると何かあったとき、力を持った人の言うことを簡単に聞いてしまったり、棒で殴られることが当たり前という教育を受けてきた場合、自分が大人になったときに「人に対して暴力で物事を解決してもいい」という潜在意識が働いてしまう事もあると伺いました。

 

うちの会社はNGOさんのプロモーションビデオや映像・音楽などの制作も行っていて、いわゆるクリエイティブなものを根幹にした事業をしているので、クリエイティブをベースにしたお祭りを開こうと思いました。コンセプトは「広い世界と繋がって、可能性・選択肢・視野を拡げてもらおう」というものです。

 

フェスティバルの様子

近藤:お祭りを開催した場所は、難民や貧困など様々な理由で学校に行けない子供たちが来る教育施設。実はゲリラ的にお祭りを開こうか、という話もあったのですが、情勢もあるし子供たちに危険が及ぶことを避けるため、クローズドの形で開催しました。

場所を提供してくれたこちらは、ユニセフが出資していて現地のローカルNGO(NGO East Amman Charity for Development)が運営をしている教育施設です。珍しく音楽教育もあるような場所でした。

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島田:年齢は3歳~20歳くらいまで幅広かったですね。イベント当日より数日前から現地で準備していたのですが、その日学校に来ていた子がすごく率先して準備を手伝ってくれたりして。手伝ってもらうことがないときも、勝手に看板を貼ってくれたり。(笑)

「この看板まだ張るって決めてないのにな~」と思いながら「ありがとう」みたいな(笑) まぁでも、すごく良かったですよね。

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祭り当日のコンテンツはすごく幅広くて、例えばanother life.では人の写真を撮るのが得意なので、子供たちの写真を撮ってあげて名前をつけてプリントをしてあげるという遊びをしたんですが、人気がありすぎて大変でした。一番人気で、先生もコントロール不能で「俺が先だ!」みたいな(笑)

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あとは『Makey Makey』(https://www.switch-science.com/catalog/1109/)という、MITメディアラボの学生が開発した特殊なキットとか。これは、PCに電極を繋げて果物などに差して、果物に触るとパソコンが反応して音が出たりアクションがあるんです。単純ではあるんですが面白いおもちゃで、例えばバナナを触ったときに音が鳴るというメカニズムを知らないとすごくびっくりするんですが、そのメカニズムを子供たちに教えてあげると「じゃあコレは?」という感じで色んなものを使って勝手に遊びだすんですね。今回、このMakeyMakeyのデラックスキットを2台を株式会社スイッチサイエンス様(https://www.switch-science.com)より現物協賛いただき、今後も使えるように現地の学校に寄付させていただきました。

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なるべく現地で手に入るもので完結できる遊びを色々やりました。ブンブンゴマという日本の単純なおもちゃとか、何でも書いていいよと言って模造紙を数枚用意してペイントしてもらったりもして。テーマも特に無くて、ペンキと真っ白なキャンバスがあるだけの場所なんですが、ここも大人気でしたね。

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近藤:JICAの方々は日本語で漢字を書いてもらったり琴を弾いてもらったり、環境教育になるようなコンテンツも出したり。それらのコンテンツも「やるかどうかは自分で決める」ということを大切にしたくて。例えば日本の縁日でも、何にもしなくても楽しい雰囲気に浸ってられる。だけど金魚すくいしたり色々できる。みたいなのが理想だなと思っていました。

「自分の好きなものをただただ何回でもやっていいから」という気持ちでしたね。

 

現地の子供たちについて思ったこと。

近藤:今回この教育施設で、木のようなモニュメントを作ろうということになり、通っている子供たちに「自分の”願い”を書いて」と呼びかけ『wish』を短冊として吊るすことになりました。子供たちに書いてもらった『wish』の短冊には、「警察官になりたい」などの夢の他にも「祖国に帰りたい」「家族に会いたい」、中には「こんな人生嫌だ」、「死にたい」みたいなこともあったりして。ショッキングだったし、やっぱり色々と思うところがあるんだなぁと思ったりしましたね。

その他にも、「自分の”好き”を、好きな方法で書いて発信してくれ」と呼びかけ、それぞれの様々な方法で作ってくれたものを飾るコーナーを設けたりもしました。

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こうしてお祭りという機会が設けられて、いざ色々やってもらうとすごく絵がうまい子がいたり、写真を撮ることも撮られることも好きだったり。自分を考えを持って表現するということを、機会があればみんなちゃんとできる子たちなんですよね。多くの意外なことや、発見がありました。まぁ、みんな楽しそうだったんでそれが一番嬉しかったですね。

 

蔦屋家電のトークショー当日は、現地のお祭りの写真などと一緒に子供たちに書いてもらった短冊が飾られていた。

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イベント参加者にも短冊を書いてもらい、、

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また、この教育施設だけでなく、ヨルダン王立の孤児院でもお祭りを開催した様子や、世界最大級のシリア難民キャンプ「ザータリ難民キャンプ」で取材をした際に撮った写真も展示された。

トークショーでは、ザータリ難民キャンプを取材したお二人が現地で体験した事や感じたことなども大いに語られた。

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日本にいると、ニュースでも取り上げられることの少ない現地の方の素直な思いやリアルな状況、子供たちの無邪気な笑顔などもたくさん紹介される、貴重なトークライブとなった。

世界中の子供たちの夢を開き、世界とつながる一歩になる活動を続けるWORLD FESTIVAL Inc.を、今後も引き続き注目していきたい。

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※お二人が立ち上げたクラウドファンディングは、200名近くの支援者が集まり、目標達成しました。